代表取締役 宮下 秀麿


代表取締役 宮下 秀麿

設立 平成23年10月11日
事業内容
    • ルーズリーフを媒体とした新卒求人広告サービス「リクノート」の提供
    • 採用コンサルタント事業
会社HP http://rr-dd.com/

学生視点のサービスを思い付き、大学在学中に起業

当社の主力事業は「リクノート」というサービスの提供です。
簡単にいうと、大学生が使うルーズリーフに企業の求人広告を掲載し、各大学で配っています。

このサービスを思い付いたのは、ふとしたきっかけでした。
実は、いわゆる“ルーズリーフ広告”をやっている会社はすでにあって、自分自身も大学時代に見かけていました。
でも、そのときの広告は商品広告だったんですよね。

僕はいま22歳なのですが、この世代は広告慣れし過ぎているというか、とにかく今はどこを見渡しても広告だらけ。
あまりにいろいろなところに広告がベタベタ貼られているのは品がないな、嫌だなと思っていたんです。
それに、企業が一方的に出したい情報を出してお金を得るという仕組みにも、違和感を覚えていました。

「どうせやるのであれば、学生が喜ぶような広告を出したらいいのにね」と、いまの会社の役員と話していて。
そこから話が盛り上がって、これだったら面白そうだしノウハウもいらなさそう。
自分たちでもできるんじゃないかという気持ちが高まって、起業し事業をスタートさせることになりました。

中小企業が探せない就職ナビサイト

もともと二人ともいずれ起業したいとは思っていたんですが、卒業してすぐという気持ちではありませんでした。
「まずは中小企業で経験を積んでから」と、金融や証券系の会社を目指すつもりだったんです。

ただ、そうこうしているうちに事業をスタートすることになって、
じゃあどんな広告を掲載するか?と調査を重ねていった結果、「中小企業」に行きあたりました。

大手就職ナビサイトを見ていたときに気付いたのが、
大企業はすぐに見つけられるけれど、中小企業を探す方法がどうにも見当たらない、ということでした。
当時はパッションナビの存在も知らなかったですしね。

さらに、一度企業目線に立って大手ナビサイトの掲載料を調べていったら、あまりの高さに驚いたんです。
これでは中小企業だと掲載は難しいと感じました。

知名度の低い中小企業の存在を、学生に伝えたい

新卒採用を望む企業は、いま全国で12万5千社ほどといわれています。
そのうち、ナビサイトなどの有料媒体を使っているのが1万3千社。
じゃあ、残りの約10万社はどうしているかといえば、
求人票だけ送ったり、大学訪問したり、縁故採用といったやり方で、
お金をかけずに人事担当者が足で稼いでいるんです。

その10万社と学生が出会うことは、とても大変なのだということが初めてわかり、
僕は、とにかくこの10万社と出会えるサービスを提供したいと思いました。

BtoBの企業とBtoCの企業は知名度がまったく違います。
いい企業であっても、知名度のない企業は就職活動イベントでブースを出しても、学生さんが集まりづらいです。
集まらない様子を見ると、「人気がない企業なのか」と思われ、
ますます人が流れていってしまう…そんな状態になっているんですよね。

だから、まずは「リクノート」で学生に名前を知ってもらうことが重要。
企業にとって、採用活動以前のとっかかりを作りたいなと思ったんです。

決して甘くはなかった大学への営業活動

いよいよ営業開始。
当時はお金もそんなになかったのですが、「リクノート」は受注がきたときに初めてコストが発生する仕組みなので、
コストの問題はクリアできました。

最初は大学に営業をかけて、就職課・キャリアセンターに置いてもらおうと考えました。
まだあまり就職を考えていない1、2年生に発信するよりも、
やはり3、4年生をターゲットにしたかったので、そこが一番良いだろうと。
ただ、飛び込みで営業をかけても、全部断られました。

大学なので広告物の入ったものがダメといわれたり、
他にも企業と学生の間でトラブルがあったときの責任の所在など、厳しい意見もあって。
でも、もらった意見も参考にして諦めずに粘り、ようやく1つの大学からOKがもらえたんです。
そこからは順調に拡大しましたね。

「リクノート」は、掲載企業に配布時期や配布大学まで選んでもらえるようになっています。
大学によってカラーもあるので、一概に上位校での配布を希望される企業ばかりではないです。

今後のビジョン・事業の目指す姿

「リクノート」はまだ全然知られていないので、多くの学生さんに届けたいです。
定期発行にして部数もどんどん増やしたいですし、「ここに載っている会社って面白いよね」と言われるのが目標。

そして会社には、来年初めて新卒生が一人入る予定なんです。
向こうからアプローチがあって、わざわざ福岡から日帰りで会いに来てくれて。
話していて仲間に加えることを決めました。

現在は採用コンサルタント事業として、説明会や内定者研修の設計なども別会社と組んで提供していますが、
新たに挑戦してみたいこともあります。

ただ、事業の軸としてあるのは、中小企業の支援と、学生に企業を伝えるということ。
「中小企業が良い」と思っているわけではありませんが、
ナビサイトに載っている企業しか知らない学生が多い現状を変えたい。
それ以外にも、企業はたくさんあるんだよということを伝えたいんです。

“「就職」も1つの選択肢”―起業を考える学生へのメッセージ。

これは早くに起業した僕がいま感じていることですが、
正直、一度就職しても良かったかなと思う部分もあるんです。

もちろん、自分たちで作っていく楽しみだとか、斬新なことをパッと言えるというような良さは感じています。
ただ、僕らは何しろ友人3人の集まりで動いていて、みんな組織を知らないんです。
人に聞いて初めて気付くことも多いですし、これから乗り越えるべき課題が出てくるんじゃないかと思います。

起業すると、教えてくれる人もそういなくなるので、
先輩や上司という存在がいて、教えてもらう経験も大事じゃないかなと。
もちろん起業意欲や熱意は素晴らしいものだと思います。
ただ、「起業」の選択肢に加えて「就職」という選択肢も一度考えてみてください。

いま、大学生は就活を頑張り過ぎだと思っています。
在学中は一番に勉強すべきだと思うし、
企業側の都合に合わせて学生が動かなければならない状況は、やっぱりおかしい。
自己分析も、学生に「やれ!」というのではなく、
学生の人間性は本来、企業側が見抜くべき点だと思ったりもします。
ただ、そういう課題は僕らのような採用ビジネスに関わっている人間が、
これから企業に伝えていかなければならないことだと考えています。